退職所得の計算  法人の役員等 特定役員等って?

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1.  退職所得とは 

退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与に係る所得をいいます(所法30①)。

下記に掲げるものも退職所得とされます。

  1. 退職所得とみなされるもの(所法31、所令72)
  2. 引き続き勤務する人に支払われる給与で退職手当とされるもの(所基通30-2)
  3. 使用人から執行役員への就任に伴い退職手当等として支給される一時金(所基通30-2の2)
  4. 受給者が掛金を拠出することにより退職に際して使用者から支払われる一時金(所基通30-3)
  5. 過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金に代えて支払われる一時金(所基通30-4)
  6. 解雇予告手当(所基通30-5)
  7. 確定給付企業年金法等の規定に基づいて支払われる一時金(所基通31-1)
  8. 未払賃金立替払制度に基づき国が弁済する未払賃金(措法29の6)

 


 

 

2. 退職金の所得金額

[退職所得等の収入金額 - 退職所得控除額]×1/2

 

ここでの退職所得控除額は以下の計算で算出されます。

勤続年数20年以下

 40万円×[勤続年数(1年未満の端数切上)]*1
 勤続年数20年超

 800万円+{70万円×(勤続年数-20年)}

 

*1    最低80万円

*2 障害者となったことに直接起因して退職した場合については、別に100万円加算

 

と今までは職位、すなわち法人の役員であるか否かに関係なく同一の計算方法でなされていました。

平成24年度税制改正により、法人の役員等のうち、勤続年数が5年以下である者(特定役員等)の退職金の計算上1/2を乗じないこととされました。

 

勤続年数を計算する際に、役員なのか否か、役員としての勤続年数は何年なのかということに注意をしなければいけません。

 


 

3. 法人の役員等とは

(1)法人の役員等とは、次に掲げる人をいいます。

 ① 法人税法第2条第15号に規定する役員

 ② 国会議員や地方公共団体の議会の議員

 ③ 国家公務員や地方公務員

 

 ①は、法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人や法人の経営に従事している者で一定の者を言いますので、ここに「みなし役員」が該当することになります。

 登記上の役員か否かという判断だけでなく、法人税法上の役員かどうかによって、勤続年数の計算をする必要があります。

 

(2)執行役員

 日本で執行役員制度が導入されるようになってから大分経ったような気がしますが、執行役員という名称のため、役員なのか従業員なのか混乱することが多いのではないでしょうか。

 執行役員制度は、取締役会の活性化と意思決定の迅速化という経営の効率化、あるいは監督機能の強化を図るという趣旨のもと導入されたもので、

 法律上にその設置の根拠がなく導入する企業によって任意にできることから、執行役員の位置づけが導入する法人によって異なっています。

 一般的には①取締役兼務型、②委任契約型、③雇用契約型など法人との契約を成立させています。

 

 一番気になるところは、執行役員ってみなし役員なの?というところではないでしょうか。

 執行役員=みなし役員 に該当すれば、勤続年数の計算にあたっては役員としての勤続年数になるからです。

 

 執行役員は、一般的には取締役会における議決権がなく、会社の重要事項を決定する権限をもっておらず、決定された事項を業務執行する役割を担っているにすぎません。

 このことからすれば、執行役員は法人の経営に従事しているとは言えませんので、役員ではなく従業員といえるでしょう。

 一般的には従業員としての位置づけですが、導入する法人によって位置づけが異なることからも、それぞれの法人において今一度確認をしておいた方が良いでしょう。

 


 

4. まとめ

今までは退職所得の計算をするにあたり、勤続年数に役員か否かという問題は生じていませんでした。しかし、特定役員等が規定されることになり、役員としての勤続年数を計算しなければいけません。

 

ずっと役員であった場合は、特に問題はないでしょうが、従業員から役員へなどのように職位が変わったり、使用人兼務役員のように使用人と役員との地位が重複している場合など注意が必要となってきています。

 

また退職手当等は「退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)」の提出が無い場合、支払者は20.42%の源泉徴収をし、受ける本人は確定申告をしなければなりません。申告書の提出の有無を必ずご確認下さい。

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